
20年 あなたと歩いた時間
第12章 君が生きた日々
「体重が軽いから向いてないって。あ、でも身長もないから幅跳びも本当は向いてないんです」
「やってなくて、今の?すげー…初めて見たかも。あんなきれいな走り」
「…ずっと、小野塚先輩が走るの見てたから」
「見てるだけじゃ、できないよ」
「…小野塚先輩だって、見てたじゃないですか」
「え?」
「いつもいつも、色んなとこから見てたじゃないですか。走りたかったんでしょ?」
野嶋と話すとき、僕は言葉の重みを感じて
しまう。
間違えたことを言ってはいけない、そんな気に
させられる。
野嶋はいつだって、まっすぐに僕に言葉を
ぶつけてくる。
だから、ちゃんと答えなくては…
「最初は去年の夏休み、自転車に乗って、フェンスの向こう側から。学校始まると渡り廊下から、その次は駐輪場。いつもグラウンド見てるあの人は何なんだろうって思ってました。気付いたら、探してて…そしたら二学期の終わりから、ふらーっとグラウンドにやってきて…どんなこと考えて、グラウンド見てたんですか。どうして陸上辞めちゃったんですか」
「…生きてる、って思いたかった…」
「生きてる?」
ダメだ。
何で野嶋に、こんなこと話してるんだろ。
「走ってるときは生きてる、って思える。そう思いたくて、ずっと見てた。でも病気がほとんど治って、いざまた走れるようになったら、今度は純粋な気持ちで走れないような気がして…走りたい欲求を彼女にぶつけたりしてた。けど気づいた。ダメなんだ、おれ。やらなきゃいけないこといっぱいあって、全部やりたい。だから全部やってる」
「…そうやって、正直に答えるところが」
「いや、別に本当のことだし…」
「真平を…桐野先輩を傷つけてるんです」
え…?桐野を?
「やってなくて、今の?すげー…初めて見たかも。あんなきれいな走り」
「…ずっと、小野塚先輩が走るの見てたから」
「見てるだけじゃ、できないよ」
「…小野塚先輩だって、見てたじゃないですか」
「え?」
「いつもいつも、色んなとこから見てたじゃないですか。走りたかったんでしょ?」
野嶋と話すとき、僕は言葉の重みを感じて
しまう。
間違えたことを言ってはいけない、そんな気に
させられる。
野嶋はいつだって、まっすぐに僕に言葉を
ぶつけてくる。
だから、ちゃんと答えなくては…
「最初は去年の夏休み、自転車に乗って、フェンスの向こう側から。学校始まると渡り廊下から、その次は駐輪場。いつもグラウンド見てるあの人は何なんだろうって思ってました。気付いたら、探してて…そしたら二学期の終わりから、ふらーっとグラウンドにやってきて…どんなこと考えて、グラウンド見てたんですか。どうして陸上辞めちゃったんですか」
「…生きてる、って思いたかった…」
「生きてる?」
ダメだ。
何で野嶋に、こんなこと話してるんだろ。
「走ってるときは生きてる、って思える。そう思いたくて、ずっと見てた。でも病気がほとんど治って、いざまた走れるようになったら、今度は純粋な気持ちで走れないような気がして…走りたい欲求を彼女にぶつけたりしてた。けど気づいた。ダメなんだ、おれ。やらなきゃいけないこといっぱいあって、全部やりたい。だから全部やってる」
「…そうやって、正直に答えるところが」
「いや、別に本当のことだし…」
「真平を…桐野先輩を傷つけてるんです」
え…?桐野を?
