
20年 あなたと歩いた時間
第12章 君が生きた日々
ゴールデンウィークが明けて、
初夏を通り越してしまったような気温の日が
続いた。
3年生になって、週6ある理数数学のノートを
集めて持ってくるよう川辺先生に言われた。
「んだよ、この紙の束?流星か」
「あー、おれおれ」
授業中ノートをとらない僕は、ノートを
提出しろと言われると非常に困る。
だから仕方なく、いらなくなった紙の裏に
メモ程度で書き留めているものを提出する。
3年生になった今では、先生の間でも定着しつつあるが新任の川辺先生は驚いたみたいだ。
「ノートとらない派なのか。たまにいるんだよな。まあいいや」
すっかり居心地の良くなった数学教官室に
僕は今日も居座っていた。
居座る、と言っても授業が終わって30分ほど
あれだけ毎日川辺先生の授業を受けておいて
まだ話したいことがあるというのも、我ながら
おかしい。
「先生、おれ、反対されてんだ」
「ん?何を?」
「…医学部受けること」
「そうか」
そうか…ってそれだけか。
少し前、久しぶりに家族が揃って夕飯だった。
姉ちゃんはこの春から地元の国立大に通い、
家庭教師のバイトだのテニスサークルだの
楽しそうだ。
父さんも母さんも、姉ちゃんは落ち着いたから
次は流星、みたいな雰囲気ガンガンで
進路の話になった。
初夏を通り越してしまったような気温の日が
続いた。
3年生になって、週6ある理数数学のノートを
集めて持ってくるよう川辺先生に言われた。
「んだよ、この紙の束?流星か」
「あー、おれおれ」
授業中ノートをとらない僕は、ノートを
提出しろと言われると非常に困る。
だから仕方なく、いらなくなった紙の裏に
メモ程度で書き留めているものを提出する。
3年生になった今では、先生の間でも定着しつつあるが新任の川辺先生は驚いたみたいだ。
「ノートとらない派なのか。たまにいるんだよな。まあいいや」
すっかり居心地の良くなった数学教官室に
僕は今日も居座っていた。
居座る、と言っても授業が終わって30分ほど
あれだけ毎日川辺先生の授業を受けておいて
まだ話したいことがあるというのも、我ながら
おかしい。
「先生、おれ、反対されてんだ」
「ん?何を?」
「…医学部受けること」
「そうか」
そうか…ってそれだけか。
少し前、久しぶりに家族が揃って夕飯だった。
姉ちゃんはこの春から地元の国立大に通い、
家庭教師のバイトだのテニスサークルだの
楽しそうだ。
父さんも母さんも、姉ちゃんは落ち着いたから
次は流星、みたいな雰囲気ガンガンで
進路の話になった。
