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20年 あなたと歩いた時間

第12章 君が生きた日々

「流星…流星でよかった…」

のぞみは僕の背中を抱きしめて言った。

「『たった八三四キロくらいで僕の気持ちは変わらない』…ってあるだろ」

いつか一緒に聴いた曲のフレーズを口ずさんだ。

「同じ人が『愛は勝つ』って歌ってんだから、その通りなんだよ」
「ねえ、八三四キロも離れちゃうの?」
「…いや、四十キロくらい…?」

僕は笑いをこらえきれなくなり、吹き出した。

「よ、四十キロ?」
「そう。京都。すぐそこ」

そう言うと、のぞみは安心したように笑ったのを僕は見逃さなかった。どこにいたって、僕らは大丈夫だ。
ずっと、一緒にいられる。そう思っていた。

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