
20年 あなたと歩いた時間
第12章 君が生きた日々
「おわっ!のぞみ…何してんだ」
昼まで練習をして、家に帰ると部屋にのぞみが
いた。
「おばさんが、入って待ってればって言ってくれたから…おばさん仕事だし、さとみちゃんは学校行ったし」
のぞみは居づらそうに、窓の側に立っていた。
「…びっくりした。いつからいた?」
「30分くらいまえかな」
「あ、さっきじゃん。ていうか、部屋汚いし。…ちょっと待ってて」
床に散らばった本や服や、暗記に使った紙を
拾い上げてベッドの上にとりあえず移動させた。
「どうぞ」
「あ。ありがと」
座る場所を作って、クッションを置いた。
僕はジャージとその下のTシャツを脱いで、
パーカをかぶった。
裸なんて見られ慣れてるのに、何となく
のぞみと目を合わせづらい。
「髪、くしゃくしゃだね」
「ん?走ってきたから」
ワックスをつけた髪が、走るとボサボサに
なった。
「走ってきたの?」
「うん」
「最近?毎日?」
「うん」
「そっか…」
むさ苦しいにおいがするような気がして、
窓を全開にした。
冷たい空気が一気に流れ込んで、僕の、
なんていうか、吐き出した欲求のカタマリ
みたいなものを押し出していくようだった。
「桐野、知ってるだろ」
「うん。同じクラス」
「ああ、あいつC組か。桐野と走ってきた。めっちゃ久しぶり」
「あ、そっか。元二中陸上部」
何となく、走った後の軽い興奮状態が
抜けていなかった。
「「この間さ、」」
「わ、かぶった」
「流星から、言って」
昼まで練習をして、家に帰ると部屋にのぞみが
いた。
「おばさんが、入って待ってればって言ってくれたから…おばさん仕事だし、さとみちゃんは学校行ったし」
のぞみは居づらそうに、窓の側に立っていた。
「…びっくりした。いつからいた?」
「30分くらいまえかな」
「あ、さっきじゃん。ていうか、部屋汚いし。…ちょっと待ってて」
床に散らばった本や服や、暗記に使った紙を
拾い上げてベッドの上にとりあえず移動させた。
「どうぞ」
「あ。ありがと」
座る場所を作って、クッションを置いた。
僕はジャージとその下のTシャツを脱いで、
パーカをかぶった。
裸なんて見られ慣れてるのに、何となく
のぞみと目を合わせづらい。
「髪、くしゃくしゃだね」
「ん?走ってきたから」
ワックスをつけた髪が、走るとボサボサに
なった。
「走ってきたの?」
「うん」
「最近?毎日?」
「うん」
「そっか…」
むさ苦しいにおいがするような気がして、
窓を全開にした。
冷たい空気が一気に流れ込んで、僕の、
なんていうか、吐き出した欲求のカタマリ
みたいなものを押し出していくようだった。
「桐野、知ってるだろ」
「うん。同じクラス」
「ああ、あいつC組か。桐野と走ってきた。めっちゃ久しぶり」
「あ、そっか。元二中陸上部」
何となく、走った後の軽い興奮状態が
抜けていなかった。
「「この間さ、」」
「わ、かぶった」
「流星から、言って」
