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20年 あなたと歩いた時間

第12章 君が生きた日々

「…っ…流星…」
「ん…?」

薄くひらいた唇のあいだから、熱い息が
こぼれた。
控えめなのぞみからのリクエストだ。
僕はその白い首筋にキスをしてから、
舌を這わせた。

「ん…っ…あ…」

右肘で体を支えて、自由になった左手で
のぞみの手を探した。
シーツをつかんでいた右手をそっと外して、
指を絡ませた。

「のぞみ…」

僕は、間違っているだろうか。
好きとか、大切にしたいとか思う気持ちの
向こうは、つながりたいとか、
ひとつになりたいという想いだった。
でも、その隙間にある小さな願望に僕は
気づいた。

ーーー壊したい

唇を離して体を起こし、真上からのぞみを
見つめた。

「流星…どうしたの…?」

返事もせず、僕は再びのぞみの小さな叫びを
聞きたくて首筋から胸へと移動していった。
主張しはじめた先端を口に含み、
絡ませた左手を離して、反対側のふくらみを
包んだ。
それから、なめらかな肌を舌先で味わいながら
少しずつ僕はのぞみの中心に向かった。
のぞみの敏感な身体は緊張と弛緩を
繰り返した。

「流…星、待って…あっ…!」
「…待たない」

のぞみは、驚きと恥じらいと、そしておそらく
快感に晒されていた。
僕は、のぞみの紅い果実から滴る蜜を、
舌ですくいとった。
…初めてだった。そんなことをしたのは。
声もあげず、身体もよじらず、ただ、両手が
シーツをつかんでいた。
のぞみが帰ったあと、僕はその跡に気づいて
また苦しくなった。

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