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20年 あなたと歩いた時間

第12章 君が生きた日々

「じゃあ隣と交換してー。採点したら返却。これ回すから、点数書き込んでな」

一時間目の現国は抜き打ちテストだった。
先生は採点の手間を省くためにこうして
生徒どうしで採点させたりする。

「すげ、小野塚全問正解」
「とーぜん」
「はいよ、おまえ正答率50%」

少しざわつく教室で僕はふと、さっき
ヤマセンから言われたテストをそっと開けた。
白紙の封筒に入ったそれは、結構なページ数で
袋とじになっていた。
こんな大層なモン、うちでやっていいのか?
内密って何だよ。

「なに、それエロページ?」
「ちげーよ、何もねーよ」

僕はテストをかばんにしまった。

「面談終わった?」
「終わった」
「何聞かれた?」
「志望校と、勉強方法と、あとノート見せろって」
「ノートぉ?!まじか…」
「あ、小野塚ノートとらない人だよな」
「そう。とらない人」
「天才的だよな、授業内容とか覚えてんの?」
「教科書に書く」
「へー」

高校に入ってからノートを持たないことにした。ただ勉強する時に教科書とノート、両方見るのが面倒なだけなのだ。

「小野塚、IQとか測ったことある?」
「ねーよ、んなもん」
「今やってるらしいよ、何人かテストされるっぽい」

…これか。

「あ。私ももらったよ。それ」
「のぞみも?IQテストらしいぞ」
「ふーん」

放課後の図書館。期末が近いせいか、にわかに
にぎわっている。

「流星、もうすぐ誕生日だね」
「…うん」
「何欲しい…?」

のぞみは、『出る単』の赤いシートを少しずつ
ずらしながら聞いた。
女ってこういうことができるんだよな。
同時に別のこと。

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