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20年 あなたと歩いた時間

第12章 君が生きた日々

け…K大の大学院…微分方程式…!

「こいつ、おれの大学の後輩でここの卒業生。で、来年からここで数学教えるから」
「小野塚です。よろしくお願いいたします」

僕は軽く頭を下げて、川辺さんを見た。
ソファに座っているとは言え、小柄だ。
温和そうな、研究者というより既に
先生っぽい。

「でさ、本題。明日までにこの問題、解いてくれ。くれぐれも内密にな」
「な、内密ですか?なんで?」
「成績分布帯ごとにテストするんだ。まああれだ、調査ってやつだ。以上」
「んじゃ、失礼しましたー」
「今朝HRナシだから、日直に出欠とってあとで持ってきてって言っといてくれな」
「はーい」

そのときちょうど予鈴が鳴り響いた。
感じのいい先生だな。

「吉田さん、今朝HRないから出欠とっとけって、ヤマセンが」
「あー、そうなんだ。うーん、誰かな?いないの…」

K大か。後輩ってことはヤマセンもか。
理数科の先生ってなにげにみんな難関大学出身
だよな。

「…小野塚くん、次移動だよ。鍵閉めるから」
「あ、うん」

僕はあわてて教科書を持って席を立った。
今日も暑い1日になりそうだ。
もうすぐ、僕は17歳になる。


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