
20年 あなたと歩いた時間
第12章 君が生きた日々
僕はぱちん、と壁にあるスイッチを押した。
玄関灯が窓越しに届いて、リビングは
完全に暗くはならなかった。
でものぞみはそれで安心したらしく、僕の首に
腕をまわした。
いったい、僕らはいつの間にこんなことを
覚えたのだろう。
いつから、こんな欲望を抱えるように
なったのだろう。
後ろめたさに気づかないふりをして、
どんどんお互いにのめり込んでいく。
「のぞみ…いやじゃないの…?」
「ん…」
のぞみは目を閉じたまま頷いた。
僕はその白い胸元に、キスをした。
どれくらい、そうしていたんだろう。
僕のなけなしの理性がさすがに止めろと
叫ぶのに気づいた。
「…おれ、持ってないし…その…」
「うん。ごめんね、私も」
「いや、普通は女の子は持ってないよ」
「そうだね…」
のぞみは少し笑った。
川原で話したことは、この欲求を前に
何の効力もないことを知った。
でものぞみは、おそらく真緒と要のことで、
何か僕のことを気遣っていたのかもしれない。
それで少し無理をしてくれたのだろう。
健全な16歳の男子である、僕のために。
「…ゆっくりでいいよ。な?」
「うん…」
「おれが後片付けするよ。テレビでも見てなよ」
のぞみに気づかれたくない体の変化が
元に戻るまで、少し離れる時間が必要だった。
僕は後片付けに意識を集中して、
ばかみたいに念入りに皿を洗った。
玄関灯が窓越しに届いて、リビングは
完全に暗くはならなかった。
でものぞみはそれで安心したらしく、僕の首に
腕をまわした。
いったい、僕らはいつの間にこんなことを
覚えたのだろう。
いつから、こんな欲望を抱えるように
なったのだろう。
後ろめたさに気づかないふりをして、
どんどんお互いにのめり込んでいく。
「のぞみ…いやじゃないの…?」
「ん…」
のぞみは目を閉じたまま頷いた。
僕はその白い胸元に、キスをした。
どれくらい、そうしていたんだろう。
僕のなけなしの理性がさすがに止めろと
叫ぶのに気づいた。
「…おれ、持ってないし…その…」
「うん。ごめんね、私も」
「いや、普通は女の子は持ってないよ」
「そうだね…」
のぞみは少し笑った。
川原で話したことは、この欲求を前に
何の効力もないことを知った。
でものぞみは、おそらく真緒と要のことで、
何か僕のことを気遣っていたのかもしれない。
それで少し無理をしてくれたのだろう。
健全な16歳の男子である、僕のために。
「…ゆっくりでいいよ。な?」
「うん…」
「おれが後片付けするよ。テレビでも見てなよ」
のぞみに気づかれたくない体の変化が
元に戻るまで、少し離れる時間が必要だった。
僕は後片付けに意識を集中して、
ばかみたいに念入りに皿を洗った。
