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20年 あなたと歩いた時間

第12章 君が生きた日々

「うまっ!おれより全然うまい」
「まだまだあるよ」

のぞみが作ってくれたのは、ミートソースの
パスタだった。
僕はおかわりをして、作ってくれた分は
全部なくなった。
食後に淹れてくれた紅茶はミルクティー
だった。僕は空腹が満たされて、
のぞみが側にいて、単純に幸せだった。

「クリスマス、どっか行こうか」
「うん。私ね、六甲山から夜景を見たい」
「昔行ったかな…めちゃくちゃ寒いと思うけど」
「大丈夫。流星がいるから」

のぞみは照れもせず、そんなことを言った。

「流星」
「ん?」

のぞみが僕の手に自分の手を重ねた。

「好き」
「うん。おれも」

どちらからともなく、唇をあわせた。
短いキスを何度か繰り返していると、
僕はもっともっとと貪欲になっていく。
のぞみはそれを黙って受けとめていた。

「ごめん…止まらない…」

僕がそう言うと、のぞみの唇が少し開いた。
そんなことは初めてだった。
でもここでのぞみの勇気を無駄にしては
いけない。
僕らは慎重に、でも何かに導かれるように
深くキスをした。
今まで感じた何よりもやわらかく、
あたたかだった。
そして、僕は誰よりも今ここにいるのぞみをいとおしいと思った。

「ん…っ」

唇をあわせたまま、のぞみは僕の手をとり、
胸のふくらみに誘導した。
もう、色々考えるのは面倒だった。
考えられなかった。
手探りで制服のブラウスのボタンを外した。
乏しい知識を総動員させて、その隙間から手を
差し込んだ。
のぞみは少し体を引いたけど、大丈夫、と
小さな声でつぶやいた。
まるで、自分に言い聞かせるようにも
聞こえた。

「明かり…暗くしてもいい?」
「え…あ、うん。待って」

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