
20年 あなたと歩いた時間
第12章 君が生きた日々
春。
僕らは四人揃って市高生になった。
のぞみと要の最後の踏ん張りは
殺気すら感じたほどで、僕と真緒は見守るしか
なかった。
入学式から1ヶ月が過ぎて、クラスの雰囲気も
徐々に和らいできた。
「小野塚くんって、中学の時、陸上やってなかった?」
「あー、うん。短距離」
「やっぱり!私、見たことあるんだ、決勝で」
隣の席の紺野香織は中学時代、陸上部の
マネージャーだったらしい。
クラスの人数の1/4にも満たない女子の中で
最初に話しかけてきたのも紺野だった。
結構色んなことを根掘り葉掘り聞いてくる。
正直、苦手なタイプではある。
「けどあれから試合で見かけなくなったから、どうしたのかなーって気になってて。そしたら高校で同じクラスで、びっくりしちゃった」
理数科の女子の中ではダントツに
スカートの丈が短い。
別にどうでもいいけど、その丈をめぐって
まわりが騒がしくてうっとうしい。
「陸上部、入らないの?」
「うん。色々あってね」
「へー。色々って?」
こういう無邪気な図々しさ、本人は
わかってないんだろうな。
その時、開け放した教室のドアからのぞみが
見えた。確か次の時間はうちの隣の理科室に
移動だ。助けを求める、じゃないけれど、
僕は意味もなくそっちへ走った。
「のぞみ…!」
「あー、流星。次、化学だよ。隣」
のぞみは、教科書とノートを抱えている。
ペンケースは何が入っているんだと
言いたくなるほどデカい。
「うん…うち理数数学」
「あはは、普通の数学じゃないんだ、難しそう」
「だよな、ややこしいよな。はは」
僕は紺野から逃れるために、意味のない会話を
のぞみとしていた。
席とっとくねー、とのぞみの友達が
言っている。
「…?流星、なんか用だった?」
「いや…何も。のぞみが見えたから」
「そ?じゃ、行くね」
「お、おぅ」
僕らは四人揃って市高生になった。
のぞみと要の最後の踏ん張りは
殺気すら感じたほどで、僕と真緒は見守るしか
なかった。
入学式から1ヶ月が過ぎて、クラスの雰囲気も
徐々に和らいできた。
「小野塚くんって、中学の時、陸上やってなかった?」
「あー、うん。短距離」
「やっぱり!私、見たことあるんだ、決勝で」
隣の席の紺野香織は中学時代、陸上部の
マネージャーだったらしい。
クラスの人数の1/4にも満たない女子の中で
最初に話しかけてきたのも紺野だった。
結構色んなことを根掘り葉掘り聞いてくる。
正直、苦手なタイプではある。
「けどあれから試合で見かけなくなったから、どうしたのかなーって気になってて。そしたら高校で同じクラスで、びっくりしちゃった」
理数科の女子の中ではダントツに
スカートの丈が短い。
別にどうでもいいけど、その丈をめぐって
まわりが騒がしくてうっとうしい。
「陸上部、入らないの?」
「うん。色々あってね」
「へー。色々って?」
こういう無邪気な図々しさ、本人は
わかってないんだろうな。
その時、開け放した教室のドアからのぞみが
見えた。確か次の時間はうちの隣の理科室に
移動だ。助けを求める、じゃないけれど、
僕は意味もなくそっちへ走った。
「のぞみ…!」
「あー、流星。次、化学だよ。隣」
のぞみは、教科書とノートを抱えている。
ペンケースは何が入っているんだと
言いたくなるほどデカい。
「うん…うち理数数学」
「あはは、普通の数学じゃないんだ、難しそう」
「だよな、ややこしいよな。はは」
僕は紺野から逃れるために、意味のない会話を
のぞみとしていた。
席とっとくねー、とのぞみの友達が
言っている。
「…?流星、なんか用だった?」
「いや…何も。のぞみが見えたから」
「そ?じゃ、行くね」
「お、おぅ」
