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ドラクエらんど

第15章 ひなた王子

「で、で、出ました!! 生きる屍っ…グール!!」



奴を挟んで、向こう側にいるニート男が叫ぶ。
つくし先生も一緒だ。
オレたちは二手に分かれてしまった。



グール…あぁ、そうか。
ドラクエにいたな、そんな魔物が…。



オレはモップ部分を柄から取り外し、槍を扱うように持ち変えた。



これで奴の胸にひと突きしてやる─!



『ガアアァァァァ…』



奴…グールは前屈みになりながら、オレたちの様子を伺っていた。



─すぐに襲ってこない!?



ゲームならここでプレイヤーがコマンド入力して先制攻撃するんだけど……まてよ、コマンド?



「おい、あんた!」

「えっ、あ、あっしですか? あっしは『やんす』と申しますっ……」



はっ…?
なんでこのタイミングで自己紹介すんだよ…



「やんす…さん。これがゲームとリンクしてるなら、もしかして魔法とか使えんのか?」

「おおっ、いいところに気がつきましたねっ。そうです、登録する時に職業も決めなきゃいけませんでしたから、皆さんのはあっしが適当に決めておきました~」

「…適当って…」



少しイラッとしながら、オレは自分の携帯画面をチラッと見た。
オレの思った通り、画面は戦闘コマンド入力画面になっている。



たたかう
にげる



オレは迷わず、『たたかう』を選択した。



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