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ドラクエらんど

第15章 ひなた王子

「あなたも、ゲームの登録を?」

「あ、はい。やはりゲーマーとしては気になりますよ、そんな強制的に登録させるゲームなんて。な~んて、実はただの暇潰しでして…」

「…じゃあ、このゲームをやめるやり方は知ってるかしら?」



オレたちは一斉にニート男を見た。



「……あ、えと………それがとても言いにくいんですがね……」



ニート男は目を泳がせる。



「……ログアウトはできないんですよ……」

「─え?」

「いやほんと、あのアニメにそっくり…。あ、見たことないですか? オンラインゲームのアニメ……」



ブルルルルルルッ──


「!?」



突然、オレの携帯電話が震えだした。



「なによこれっ…」


いや、オレのだけじゃない。
ゆりやつくし先生の携帯もだ。



「あああっ……ヤバイですよ! 敵がっ……魔物が来ます!!」



パリンッ─!



窓側のカーテンが大きく揺れたかと思うと、黒い影が窓をぶち破ってオレたちの目の前を横切った。



「……っ!!」



オレはすぐさま床に転がっていたモップを拾い、放心状態のゆりの腕を掴んで部屋の隅まで移動した。



『ガアアァァァァ…』

「…っ…」



とうとう奴がオレたちの前に現れた。


見た目は人間のようだが、肌は灰色、目は血走っていて焦点が合っていない。そして奴の口の周りには、食い散らかした後なのかベットリと血がついていた。



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