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ドラクエらんど

第15章 ひなた王子

「あっ、す、すいません!
隠れてた………まぁ、はい、そんな感じですけど、けして盗み見聞きしてたわけではなくてですね、急に扉が開かなくなって…」


「…見たところ、学生ではなさそうだけど?」



テンパッてんのか、話がくどい奴だなと思い、続けて質問をぶつけてみた。



「あ、はい……あっしは学生ではありませんねっ。29……あっ、明日誕生日なんで、30歳になります。ニートです!」

「……ニート……」



そいつはいかにも"オタク"といった格好をしていた。
髪型は手入れしてなさそうな、クルクルの天然パーマ(だと思う)。
前髪が伸びすぎて、目が隠れてる。
ちゃんと見えてるのか?
背はオレよりも高いけど、ひょろっとしてて…もやしみたいだ。



「……どうしてニートさんが、こんなところにいるのかしら?」



つくし先生がニートを睨む。



「あっ、えーとですね、話すと長くなるんですけどっ……」


「手短にお願いします」



ゆっくりしてる場合じゃない。
こうしてる間にも奴の仲間がわらわらと来るかもしれない。
バリケード突破されたら、オレたちは…。



「すみませんっ……あっし、説明するのが下手くそでしてっ。えーとですね、いつものごとく漫喫でくつろいでましたら、こちらの教頭様に声をかけられまして…」

「! 教頭に…? それで?」

「データ入力のバイトしないかって誘われたんです。ニートですから、そりゃ飛び付きますよ。まぁ、たった3時間データ入力するだけで10万なんて怪しいと思いましたけどねっ…ニートなんでワラにもすがる思いで…」

「─で?」


オレはニートを睨みつけた。



こいつの話し方、めちゃくちゃイラッとする。
この緊張感の無さ……
確実にこいつは頼りにならないに違いない。



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