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ドラクエらんど

第15章 ひなた王子

そうだ……
現実を受け止められないのは、こいつだって同じだ。
怖くないはずがない。
あいつらみたいに逃げてしまえば楽なのに、こいつは…ゆりは……。



「………ってやる」

「…え…」

「オレが守ってやるって言ってんだよ…」

「…ひなた先ぱ…」



バァンッ…!!

突然、ロッカーの扉が勢いよく開いた。










「……や、やっと出れたぁぁぁ!!」


「──えっ」



何が起きたか、一瞬わからなかった。
モップと共にロッカーから飛び出してきたのは"奴"ではなく、人間の男だった。



「助かったっ……く…空気、空気だぁ~!!」



そいつは大きく両手を広げて深呼吸をする。



「な、なんなんだ………」



緊張が一気に緩む。
オレはオーバーリアクションするそいつの動きを呆然と見た。



「もうっ……びっくりさせないでよ」



つくし先生も額を押さえながら、ふらふらと壁にもたれかかる。



「……」



ゆりはオレの裾を掴みながら固まっていた。



「…おい、大丈夫か?」

「……えっ、あ、はいっ……//」



慌ててオレから離れるゆり。



「………」



──しまった。
オレさっき、とてつもなく恥ずかしいこと口走ったような…。



「あ、あんたさ…ずっとここに隠れてたのか?」



オレは照れを隠すために、そいつに話しかけた。


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