
齧りかけの林檎
第6章 ● 君の名前 ♂side
そのお店はパスタがメインということもあってか、女性のお客さんがとても多かった。
彼女は自分の名前をウェイティングリストに書いていた。
少しまるっこい字で書かれた
『野上 2人』を見ながら
おれはすごく幸せだった。
彼女の手を引き、一緒にお店の入り口にある椅子に座った。
「もう少し時間かかりそうだね」
「うん、おなかすいた。
ゆりさんはいつもなにパスタ食べるのー?」
お店に入ったら離れてしまうかと思った。
でもお店に入ってあったまっても、まだ繋がれているおれ達の手。
