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A heart and wound

第6章 揺らぎ

和「あのね、翔さん。

…今、しんどいでしょ?
辛いでしょう?

そんな人に、追い打ちかけるように攻め立てても意味ないでしょ?
翔さんだって、そんなことしないでしょ?
そうやって、翔さんが自分を責めた以上に、俺は翔さんを甘やかすよ。

多分、翔さんが俺の立場だったとしても、同じようなこと言ったと思うよ。

…それに、俺ね?
翔さんが、おっきな口開けて、ばかみたいに笑ってる顔、大好きなの。
そうやって、ずっと笑ってる顔見れるんだったら、なんだってするよ?
…翔さんの笑顔守らせてよ。」

…やっぱり、にのには敵わない。

翔「…んだよ、おっきな口開けてばかみたいに笑ってるって。

ばかにしてんだろ。」

そういうと、俺から体を離して、

和「ばかになんてしてませーん。」

と言って笑うと、ガラッと扉を開けて、リビングへと戻った。

ガチャッ

へ?

翔「…ぅおいっ!にの!!
鍵閉めんなよ!開けろ、ばか!」

扉の向こうでは、にのがいたずらっ子の笑みを浮かべている。

…やられた。

翔「こら!にの!!
いい子だから開けなさい!」

ドンドンと、扉を叩く。

それを見て、ケラケラ笑いながら、

和「や・だ♡」

と言う。

翔「もういいよ!
拗ねるぞ、俺!」

と言って、頬を膨らませると、

にのが笑いながら、トントンっと、扉の端の方を叩くから、それを追って見てみると、

…少しだけ、扉が開いていて、鍵はちゃんと閉まってなかった。

にのは、床に転げて、お腹を抱えて笑ってる。

俺は、ガラッと扉を開けると、

翔「騙したな!」

と言って、にのの上に乗り、脇腹を擽った。

和「だ、だって、はは、ちゃんと確認しないんだもん、ははは…腹痛い〜、もー」

翔「鍵かける音したら、閉めたと思うだろ!」

和「はは…わかった、わかったから!…やめてぇ〜」

翔「ったく!!」

手を止めて、はたと気付いた。

…この体勢、やばくないか?

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