
妖魔滅伝・団右衛門!
第7章 さすらい団右衛門
「真実は、大事な人の涙になりそうですか?」
「残念ながらな。こりゃ、大泣きしそうだ」
団右衛門は頭を掻くと、大きな溜め息で場を誤魔化す。木の子はそれを見ると、手を叩き微笑んだ。
「ならば、私があなたの鬼退治にお供しましょう。あなたの大事な人も、私が慰めてあげますよ」
「は? いや、あんた……土地に着く妖怪だろ? 動けんのか?」
「村は滅び、ここに居着く理由はなくなりました。木の子は、人がいないと寂しくて死んでしまうんです。ですから、今は動いてもいいのです。それに……」
木の子が見上げるのは、焦げた大木。彼はそれに手を添えると、ぽつりと呟いた。
「鬼は私の母を傷付けた、敵です」
団右衛門が嫌だと言っても、木の子は勝手に後を追うだろう。彼もまた、鬼の被害者なのだ。
「分かった、まあ戦力は多い方が有り難いしな。じゃあ、ついて来い。あいつの所に……嘉明の所に、帰るぞ」
「あなたの大事な人は、嘉明という名前なのですか。良き名ですね」
「ああ、名前だけじゃなくて、心意気もいいぞ。あいつは強い、そして物分かりがいい。きっとあんたも、すぐ受け入れてくれるさ」
