
妖魔滅伝・団右衛門!
第7章 さすらい団右衛門
「事の始まりは――初めて鬼が襲ってきたのは、五十年程前でした。その鬼はここにあった村を襲いましたが、村に住む退魔師に退けられたのです。鬼は退魔師を深く恨み、退魔師が老年になった二年程前に、復讐のため再び村を襲いました」
「で、年を食った退魔師は、鬼を倒せず村ごと死んだって事か」
「退魔師の衰えだけではありません。鬼は五十年の間に、力を蓄え強くなりました。並みの退魔師では敵わぬ程に」
その鬼が嘉明の精を手に入れ、さらに強くなったと知れば、木の子は卒倒するだろう。団右衛門は何食わぬ顔をして、もう一つ訊ねた。
「二年前暴れた時に、もう一人鬼を連れていなかったか?」
「……あなたは、本気で詳しく調べたのですね。ええ、五十年前の襲撃に参加していなかった仲間と共に、二年前は現れました」
木の子は顎を手に取ると、今度は団右衛門に問い掛ける。
「あなたはどうして、鬼を足取りを知りたいのです? 倒したいなら、背景など構わず倒せばいい。鬼の足取りを知って、何か役に立つのですか?」
「ああ。足取り次第では、大事な奴を泣かせるかもしれないからな。真実を知っておきたかったんだ」
