
妖魔滅伝・団右衛門!
第5章 悠久と団右衛門
悠久はくつくつと笑い、その場に寝転がる。そして大きく息を吐くと、感慨深く呟いた。
「それにしても、やはり嘉明はいい。見目もいいが、何より心が男前だ。八千代、聞いただろう? この前も失態を犯したのに、尽くしてくれる小姓だと褒めていたぞ」
「手を出すなと散々言ったはずだ。こんな所にまで介入して、殺してやる」
「儂を殺せば、八千代の正体も明らかになるぞ。倒れるも進むも共に……それが、儂と八千代ではないか」
返事をしない八千代に、悠久は上半身を起こす。八千代は今にも噛みつきそうな顔をして、悠久を睨んでいた。
「もう、八千代は立派な鬼だ。人を殺し心臓を食らい、掌から内臓まで血に染まった。ならば同じ存在である儂と共に、嘉明を可愛がってやろうではないか」
「嘉明様は……儂一人のものだ」
「八千代一人では、あの憎き退魔師には敵わん。大人しく儂と手を組め。力になってやろう」
八千代はやはり答えないが、鋭い目線を悠久から外す。
「……やはり、立派な鬼よ。八千代、などと脆弱な稚児の名で呼ぶのは失礼だな」
悠久は再び寝転がると、下半身を指差す。八千代は舌打ちすると、再び着物をはだけさせ、悠久の上に乗った。
