
妖魔滅伝・団右衛門!
第5章 悠久と団右衛門
「あんたは黙って構えるだけでいい。ただ、悠久の身元がはっきりするまでは、絶対二人になるなよ。城や屋敷は人も多いし手は出しにくいだろうが、もし鬼の手先ならこの機は逃さないだろうからな」
「分かっている。本当に八千代の兄であるなら、良いのだがな」
「八千代が記憶を取り戻せば、一発で真実も分かるんだが……まあ無くしたくて無くした訳じゃないものを、責めるような言い方をしたら可哀想だよな」
「そのような事、決して八千代の前で話すなよ。あの子は傷つきやすい性だ、そのような事を言われれば、思い出せない自分を責めて泣くだろう」
「大丈夫だ、オレだって八千代が泣いているのは見たくねぇよ」
二人は再び歩き出し、これからを話しながら他の家臣達の元へと向かう。その間、部屋に残された八千代と悠久が、どうしているかも知らずに。
背中に手を回し抱き締め合う様は、そこだけ見れば美しい兄弟愛に思える。しかしせわしなく動く下半身は、兄弟の純愛を軽く超えていた。
「ぁっ……いい、もっとっ!」
胡座をかいた悠久の上で跳ねる八千代は、すぐに泣く少年の姿からかけ離れている。
