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妖魔滅伝・団右衛門!

第5章 悠久と団右衛門

 
「団、お前の目から見てあの男はどうだ? 鬼の気配がするとか、怪しい点はないか」

「見た目が鬼に似てるくらいで、気配はないな。まあ見た目といっても、南蛮から来た宣教師も大体鬼みたいな姿をしている。おそらく、南蛮ってのはそういう見た目の人間が暮らす土地なんだろう。となると、あれは鬼だから似ている、とは言い切れないな」

 どう見ても日の本の人間でない男が、八千代の兄を名乗る。それも一見不審だが、八千代は元々色素が薄く日の本の人間らしからぬ外見をしている。もし出生に南蛮人が関わっているのだとすれば、それも不自然ではない。

「……ただ、一つ気になる点がある。淡路を出た後、全く鬼の気配を感じなくなった事だ」

「それは、何か不都合なのか?」

「考えてみろよ、オレは鬼の気配を察知して、淡路まで来たんだぞ? 鬼はオレが来る前から、ずっと気配をだだ漏らしだったんだ。それはこの前の一件が終わった後もそうだった、なのに今は、全く気配がないんだ」

「つまり、今気配がないのは意図的に隠していると」

「しかも、退魔師にすら察知出来ないくらい巧妙な隠し方が出来るって事だ。だとすると、隣に鬼がいても気付けないのさ」
 

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