
最後の恋は甘めの味で
第14章 逃げる
.*・゚side 佳世.゚・*.
そろそろ暁の上條くんへの態度にイライラしてきた頃。
上條くんからお誘いがあった。
「君島さん、あの時のお礼まだですよね。焼肉と寿司どっちがいいですか?」
あの時、とはおそらく階段の踊り場で暁と抱擁しているのを見て、まるで他人のように振舞い見送った時のことだろう。
まあ、結局は暁にバレてしまったし、それを上條くんにも伝え、お礼はいらないとも言ったのだけど。
「上條くん、それだったら」
「あー、いや......そのお礼っつーのはついでっていうか.....」
上條くんの目が仕事に取り組む暁を捉えた。
あーね.....
事の事情を察知し、自分も知りたかったことだし、と寿司を選択した。
