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しのぶ

第7章 7・しのぶ

 
 忍びの訓練とはあらゆる痛み、毒にも耐えるよう行われていると聞くが、まさかここまで耐えるとは、元康も予想外だった。

「ええ……相手が痛めつけようと下手くそだろうと、局部に触れられれば極められるよう仕込まれています」

 とことん忍びである志信に胸の痛みを覚えながら、元康は腰を動かす。志信の体はそれに合わせて淫靡に反応するが、間違いなくそれは訓練の賜物。本物の快楽ではなかった。

「もう、我慢などしなくていい。痛い時は痛いと叫べ。嫌なら嫌と言え。俺は今からお前から預かった『心』を返す。忍びとして生きたお前は――今日で死ぬんだ」

「元康、様……」

「そして、生まれ変われ。忍びではなく、生涯俺に仕える武士として、俺のかけがえのない存在として」

 仕込まれた通り快楽に走る体が、一瞬戸惑いに震え忍びの支配下を離れる。志信は起き上がり元康を問いただそうとするが、元康は志信を床に押さえつけて律動を早めた。

「元康様っ、私を、殺すのでは……!」

「だから死ねと言っているだろう。もうお前を、心無い忍びでなんていさせるものか!」
 

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