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しのぶ

第7章 7・しのぶ

 
「まったく……俺はもう許す気でいるのに、頑固な奴だな。面倒な事この上ない」

 相変わらずな志信に苦笑いを浮かべ、元康は刀を構える。志信もまた穏やかに笑み、全てを受け入れるべく体の力を抜いた。

「お前は今日、ここで死ぬ。俺はお前を愛する者として、お前をそのまま生かしておく訳にはいかない」

 志信は何も答えず、ただ頷く。元康の心は静寂に支配され、淀みなく、ためらいなく刀を振り下ろした。

 鈍い音を立てて、刀が床に突き刺さる。と、同時に、志信の着ていた袈裟が二つに割れ、志信の体は露わになった。

「っ、これは……」

 戸惑う志信を、元康は床に組み敷き足を大きく開かせる。そして袈裟を取り払うと、慣らす事もなく後孔に元康自身を突き入れた。

「っ!」

 受け入れる姿勢のなかったそこは固く、無理矢理開いたせいで血が流れる。だが志信は痛みに声を上げる事はない。それどころか、痛みとは裏腹に自身を立ち上がり始めていた。

「……無理矢理犯される事に対する訓練も、あったのか?」

 志信の額には脂汗が浮かび、僅かだが顔も歪んでいる。そうでなくとも血が出ているのだ、痛みがないはずがなかった。
 

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