テキストサイズ

顧みすれば

第38章 愛の行方

あてどなく街をさ迷う


初めて来たニューヨーク


右も左もわからない。



私はただ街角に立ちすくんでいた。




「佐々木さん?

 いや、山下さんか」



聞き覚えのある声に振り向く



「石田さん!」


「覚えててくれた?」


「もちろん。お久しぶり」


「どうしたのこんなところで」


私はうつむいた。


「ひとり?

 なわけないか。山下常務と一緒?」



「ううん。突然思い立って

 ニューヨークに来てみたんだけど

 右も左も分からなくて...」



石田さんは少し考える風だったが


にっこり笑って


「さすが財閥

 思い立ったらニューヨークか


 羨ましいよ。


 では我が家にご案内しますよ


 奥さま」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ