テキストサイズ

ワタシの履歴

第35章 複雑②

WAXの工程を全て終わらせた久保さんは、私の板を立ててソールを見て、満足そうにしていた。

そして、民宿の大きな玄関の横にある板立てに、私の板を立てた。

「これで明日はスピード出るよ~!」

久保さんが振り向きながら言った。

「ありがとう!」

私は笑顔で言った。

すると、久保さんも笑顔で言う。

「ねぇ…!最後だし、お酒少し飲まない?1杯でいいからさ!」

私は迷った…

明日はクラブがある日だ。

クラブは、あの校長でありクラブ創設者の斎藤さんが見てくれる…

集中したい…

「…ゴメン…明日はクラブで…やっぱ飲めないよ」

すると久保さんは、一瞬残念そうな顔をしたが、すぐに笑顔になった。

「…さすがだなぁ!その意志の強さ、というか信念の強さ!カッコイィよ!」

「え…?ありがとう!」

まさか、そんな事を言ってくれるとは思わなかったからビックリした。

そして嬉しかった。

久保さんはお礼を言った私に、今度はちょっと言葉が詰まりながら言う。

「やっぱ…イィね!…あのさぁ…輝子ちゃんスキになっちゃったよ…」

久保さんは照れ笑いのような顔をしていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ