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ワタシの履歴

第35章 複雑②

部屋に入り、歌い始めた。

「余り飲み過ぎ無い方がいいよ、無理しないで」と言う私をよそに、お酒を飲んでいく洋クンは、どんどん酔っ払っていった。

そんな彼とは反して、私はどんどん酔いが覚めていく。

誰かが酔うと、私はどんなに飲んでも酔えない。

なぜなら心を許していないから。

私が酔えるのは、気を許した人の前だけだ。

―慶太も、その一人だったのに―


洋クンは、だんだん私にベタベタしてきた。

手を握ってきたり、肩を抱いたり、肩に寄り掛かったり。

しまいには、私を押し倒し、馬乗りになってキスを迫ってきた。

笑いながらも私は全力で拒否をし、なんとかまぬがれたが、洋クンは納得しない感じだった。

「簡単にキスする女がいいの?私はそんな女じゃないよ」

と、そんな彼を見て私は言った。

すると洋クンは、ちょっと驚いたような顔をして答えた。

「ち、違うよ!そうだね、輝ちゃんはそんな女じゃないよね!ゴメン…でも輝ちゃんマジかわいぃ。今日会って改めて思ったし、話して余計に思った!…付き合わない?」

「あは、ありがとう。でも何言ってんの!褒め過ぎだし!」

私は流した。

いや、流そうとした。

今思うと、これも悪いクセなのだろう…

慶太の時同様、むきになったか本気を見せようと思ったのか…洋クンはまた私を力ずくで押し倒した。

カラオケルームのソファーはツルツル良く滑る…ゆえに、押し倒され易いようだ…

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