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ワタシの履歴

第35章 複雑②

私が親友と呼べるのは、たった一人。

恵だ。

しばらく連絡をしていなくても、会っていなくても、心の支えになってくれている―それが親友だと私は思う。

同級生に乱暴され、引きこもっていた時、理由を知って『なんで言ってくれなかったの』と、私以上に泣いた彼女。

『輝子はいつも肝心な事は言ってくれない。もっと頼って』と言ってくれた。

私はこの言葉に救われて、自分を変えるべく飲み屋で働いた。

そして対人恐怖症を乗り越え、今の私がいる。


恵のおかげだ。

恵だけにしか、私は心は見せない。

八方美人ゆえ、仲良くなったコはたくさんいる。

でも、心から信用する事は出来ない。

意図して信用していない訳ではない。

勝手にそうなってしまう。

脳が、心が、当たり前のように信用しないのだ。

人を信用出来ないなんて…悲しい事だけど…自分が勝手に、自分を守っている…八方美人なのも、自分を守る事の一つだ。


だから、洋クンの強引な誘いを、無下に断る事が出来なかった。

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