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霧霞ノ桜蕾

第2章 滴ル血ノ一滴マデ*近親相姦/血縁/禁断

「…ちがう。そんな事、微塵足りとも…─」


第一、僕が好きなのは──…


「……やめてよ、そんな顔」


突然、肩に手を置かれ、そのまま拒む間も無く
ソファーに押し倒される。


「え、え?は、るき……?」


あわあわと、現状について行けず、動揺する。

今日の晴樹─いつにも増して機嫌が悪くない、か…─?
そんなに、嫌─だったのか?


「晴樹?ごめん。だけど本当に──…」


急に無言に成り、ただ静かに僕の顔を見つめ続ける晴樹。
羞恥に苛まれ、視線を天井に向けながら
晴樹の肩を押し返す。


「晴樹─?」


─ど、どうしよう。ビクともしない。

そうやって焦っている間も、晴樹の視線を感じ続け
羞恥や何やらで、壊れそうだった。


「──父さん、可愛い。
そんなに恥ずかしいの?顔真っ赤」

「っ、いいから…っ」


急に口調や声色が柔らかく、刺が無くなり
そしてそれにほっと安堵したのも束の間。

する…と、晴樹の冷たい手が頬を撫でる。

突然過ぎる出来事に、身体がびくっと反応する。


「──…ねぇ父さん。俺の事、好き?」

「っ、す、好きに決まってるよ。
大事な家族で、息子…なんだから」

「─ふぅん?じゃあ父さんは…──その息子相手に欲情出来ちゃうんだ?」

「よく、じょう……?」


クスクスと、妖艶に微笑む晴樹の視線の先にあるのは
半勃ちした、自身のモノ。

…え、えっ!?な、なんで勃ってるんだ…!?


「あ、あの晴樹…?これは─…」

「──キスしていい?」

「─…え?」

「父さん。キス、したい」


ツ…と、唇を晴樹の親指の腹の所で撫でられる。

そんな小さな事にも反応する自分が
堪らなく恥ずかしい。

顔に熱が集中しているのが分かる。

晴樹の、真っ直ぐ過ぎる無垢な瞳が苦しい。


「───だめ、だよ」

「…どうして?父さん、俺の事好きなんでしょ?」


──言えないよ。


「─そ、れは、家族としての、好き…だから。
だから晴樹は“そういう”…対象じゃない」


嘘を付いている罪悪感。

少しでも、晴樹の視線から逃れたくて
ふい…と、横を向く。

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