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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星

 元々、特に男の人が嫌いというわけではなかったのに、こんな状態では結婚なんてできるはずがない。もしかしたら一生、治らない心の傷を負ってしまったのかもしれないと思うと、哀しかった。
 が、あの夜、何とか逃げおおせられたことは大きな救いであった。あのまま準平に汚されていたかと考えただけで、怖ろしさに叫び出しそうになる。最悪の不幸は回避できたのだから、それで良かったのだ。

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