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第29章 ♥隠れて甘いkissをして/立花と香

台本? 読合せ?



「ハッ!そうヨ!!
アタシとしたことが気付かなかったワ!」



裏口の手前ギリギリで隼人を羽交い締めにしたアンジーが、シゲさんの言葉に反応する。



「隼人!由宇が言ったのは今度の映画のセリフ!」

「……セリフ……?」

「そうヨ!一字一句同じだったじゃない!
架空の世界の言葉ヨ!」

「…………」

「まったくシュールすぎる冗談なんだから~~!
こりゃ由宇に一本取られたわね……」

「冗談じゃなかったら?」



ゾクリとするような、隼人の低い声。


再び空気が凍るような、とんでもないオーラが放たれて


アンジーが手を離すと、隼人がゆっくりと俺達の方へ振り返った。


……その顔が、あまりにも切なくて、美しくて、全身が硬直する。



「もし、由宇が言った言葉に
少しでも本音が入っていたのなら

俺、今日という日を一生後悔する」


「…………!」


「……つーか

生きていけねーよ」

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