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第29章 ♥隠れて甘いkissをして/立花と香

「………隼人………」



携帯を手に取り、恐る恐る声をかけると


予想に反し、隼人は爽やかに微笑むと


ジャケットのポケットからサングラスを取り出した。




「じゃ、そーいうことで」

「~~~~!!!」

「チョット待ちなさ~~~い!!!」



素早い動きで裏口に向かおうとした隼人を、アンジーが鬼の形相で呼び止める。



「どこ行く気ヨ!!」

「聞かなくても分かるだろ」

「アホ!一旦落ち着きなさい!!」

「落ち着いてられるか、緊急事態だ」

「んなわけあるか!もう迎えが来るから……」

「悪いが俺はキャンセルする。
彰と翔太がいれば十分だ」

「てめぇが主役だろ!!」



アンジーのオネエ言葉が封印される時は、状況が危険レベルに上がった事を示す。


その勢いに完全にビビッた俺と翔太の横で


落ち着きを取り戻したシゲさんが、ニコニコして口を開いた。



「すごいねぇ、由宇ちゃん。
台本、全部覚えたんかなぁ」


「………え!?」


「隼人が珍しく読合せの相手をさせてくれたって
この前嬉しそうに言ってたよ」

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