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闇の王と光の騎士

第9章 暴君王のスピーチ

アマテラスは確かに子供を兵器に変えるほどの特訓をしているが、それは魔導アカデミーとて同じことだ。

いや、その過酷さから考えればむしろアカデミーの方が壮絶と言えた。
魔導アカデミーは入学者の半数も卒業できない。
理由は過酷な訓練や実戦研修で死ぬからだ。

そのアカデミーで生き抜き、首席だった霧里は正に真の殺戮兵器と言えた。

地面を蹴り、素早くミーカに詰め寄る霧里の脳内では三十通りの攻撃パターンがシミュレーションされている。

近付く霧里を警戒するミーカ。
わずかに右足に体重がかかるのを霧里は見逃さなかった。

「ハッ!!」

鋭い蹴りはミーカの右足を狙い、放たれた。

動き出しに撃てばかわせない。

そこが狙いだ。

バスっという鈍い感触が霧里の蹴り脚に伝わる。

「なにっ!?」

計算づくめだった霧里の蹴りをミーカは抱えて完全に防御していた。

「馬鹿なっ……!?」

「お姉ちゃん、私の動きを確認してるのバレバレだよ」

右足の軸移動はミーカの誘導だった。

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