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闇の王と光の騎士

第9章 暴君王のスピーチ

とにかく止まらずに抜けてしまおう。
TOMは早足で剥製室す進んでいく。


『人狼』


その二文字がTOMの視界に飛び込んできた。

「ッッ……」

見てはいけないという気持ちで心臓が早鐘を打つ。
しかし意思とは反して----

TOMは立ち止まり、人狼の剥製の前に吸い寄せられていた。

「おお。ここは人狼か……」

唖然とした表情で見詰めるTOMの隣に月影が立つ。

「…………悪りぃ」

「ん? 何か言ったか?」

月影は隣に立つ友人を見る。

「俺……やっぱ……人間は……好きになれねぇわ……」

みるみるうちにTOMの全身は深い毛に覆われ、犬類の耳が這えてくる。

「おま……えっ……」

人狼と化したTOMが牙を剥いて月影に襲いかかる。

一時は友情さえ芽生えた人狼と勇者の悲しき殺し合いが開幕する----

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