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闇の王と光の騎士

第9章 暴君王のスピーチ

「狼煙火ッッ!!」

憎しみに囚われた人狼は力の限りに術を練った。

月影を殺したいというより、全てを破壊したいという、破壊衝動だった。

「封ッ!!」

月影はその術をすかさず消した。

混みあった博物館でその術を使われると市民にまで被害が及ぶ。

「うわっ!?」
「ひゃっ!?」

二人の術がぶつかり、騒音を鳴らすと周りの人々はパニックに陥った。

「逃げろっ!! 早くッ!!」

月影は人々を庇うようにTOMの前に立ち、避難を促す。

「お前とは……友達でいたかったよ……」

「…………あぁ」

TOMは手に鉤爪を装着する。

「けど……仕方ないだろ? それが人と魔族の宿命だから」

月影は自身のシンボルである細くて長い剣を構えて向かい合った。

二人の間に手加減をする気配は、皆無であった。

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