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闇の王と光の騎士

第9章 暴君王のスピーチ

剥製室にはかつて人類と争った魔族の剥製が展示されている。

「……ここはいいや」

「なんで? ここがこの博物館の一番の見処だぞ?」

TOMの正体が何者か知らない月影に察しろと言う方が無理だった。

月影を置いて出ていきたかったが、そうもいかなかった。
館内は順路の一方通行で、この剥製ゾーンを通らずに出ることはできない。

大混雑の博物館を逆走して出るということも難しかった。

意を決して月影の後に続く。

「ほら、見てみろ。ドラゴンの剥製もある。あっちにはキメラの剥製もあるぞ」

そんな月影の言葉も耳に入らないほど、TOMは狼狽えていた。

それも無理のないことだ。
人間が人間の剥製の展示されたところに連れて行かれるのと同じことなのだから。

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