
とあるホストの裏事情・完
第33章 将悟の憂鬱
案外面白いかもしれないな、と思ってほくそ笑んでると
まこが「え、なに?気持ち悪い」と怪訝そうな視線を向けてきた。
「そりゃもう。ありまくりですよ、まこさん」
「あら、キュンキュンしっぱなしですか、将悟さん。どんな彼女なん?会ってみたいわー」
「シャイで正直じゃないからなかなか難しいね。で、そっちの彼氏さんはどーなの」
最近いいオトコを捕まえたと
とびっきりの笑顔で俺に告げてきたのはほんの一週間前。
あれからどういう進展が?
「うん、もー最高。…今のとこはね。あとからどんなカスが出てくるかわかんないし、あたしの本性知られたらさすがにやばいし…」
「じゃあまこ一生結婚できないじゃん。かわいそうな女」
「えー、だったら彼女と別れてあたしと付き合おうよ。結婚しよ?あたし将悟ならわかってくれそうな気がするの」
「はは、どんだけ追い詰められてんだってんの。大丈夫、きっと俺みたいないいオトコにはすぐにでも逢えるよ。美人なんだから」
一瞬ドキッとしたりもしたが
気を取り直して笑い飛ばしてみせる。
というか、今のオトコはどんななんだ?
「どんなオトコなの、今のやつ」
「ん?んーとねぇ…やさしい」
「ほぅ」
「イケメン」
「ほほぅ」
「照れ屋」
「……まさかの草食系男子か?」
「あーまぁ… 世間的に言えば?ってとこ?あっははは」
今までのまこの恋愛履歴は、ばりばりの肉食系。
急に草食系に変えたことが
吉とでるか凶とでるか、というのがこれから見ものだ。
