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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

「っ…なんで? 九重君…?」

「………」

「黙ってないで、答えなさいよ!!」

高羽さんの声が震えだしたと思ったら、次の瞬間には、泣きだしてしまった。 それを見て、いつも何も言わない子が、高羽さんを慰めている。

「なんで協力してあげないの!!? まりあの気持ちは知ってるでしょっ!!?」

「…高羽さんには…協力できない。 ごめん…なさい…」

「っ…ど、して…?」

顔を上げず、うつむいて泣いたまま、高羽さんは理由を尋ねてきた。

「…………」

「なんで協力しないのかって聞いてんの!!!! さっさと答えなさいよっ!!」

以前の僕なら、こんな風に責められたら、怖くて彼女達の言葉に頷いていただろう。
だけど…恋をして強くなるのは、女の子だけじゃない。 僕は、一颯君に対するこの気持ちを、誰にも譲るつもりはない。 だから…

「…ぼ、くは…」

どんなに怖くても…どんなに泣きたくなっても……もう、逃げない。 きちんと、この気持ちと向き合おうって決めたんだ。
高羽さんや、お友達にどう思われたって、僕は…

「僕はっ…一颯君が…好き……だから…」

「は?」

僕の言葉に、三人ともポカーンってなっちゃった。 当然だけど…
驚きのあまり顔を上げた高羽さんの顔には、涙が流れた後なんてなくて…目に涙が溜まっているというわけでもなかった。
な、泣いてなかったの…?

「あ…ありえないでしょ!? 気持ち悪いんだけど!!!!」

真っ先に口を開いたのは、高羽さん。
気持ち悪いって言われることは覚悟してたけど……やっぱり、直接言われるとつらいや…

「一颯君が、あんたのことなんか好きになるわけないでしょ!!? 一颯君言ってたもん!! 『一柳しか友達がいないみたいだから、かわいそうだなって思って一緒にいるんだ。』って!!」

………え? 一颯君が…僕のこと、そんな風に思ってたの…? 嘘…でしょ…?
僕と一緒にクラス委員をやりたいと言ってくれたことも、僕を撫でてくれたあの優しい手も、楽器が上手いことを褒めてくれたあの優しい笑顔も、全部…

「私、相談されてたんだから!! 『ちょっと優しくしただけで付きまとわれて、困ってる。』って、何日も悩んでたんだからね!!!!」

僕に同情して、嫌々やってくれてたの…?

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