テキストサイズ

BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

「………?」

あれ…ここ……僕、どうしたんだっけ?

「気がついたか?」

「!!!!」

がばっと勢いよく起き上がると、心配そうな表情を浮かべた楓先輩が。
楓先輩の顔を見たら、さっきのことを鮮明に思い出してしまって…

「あ、あ、あのっ…」

顔がものすごく熱くなって、何を言えばいいのかわからなくなってしまった。
とにかく、謝らないといけないのはわかってるんだけど…な、なんて謝れば…

「悪かったな。 変なもの見せて。」

「ふえ?」

まさか、先輩に謝られるとは思っていなかったので、間抜けな声を出しちゃった。

「せ、せん、先輩が謝らないで下さい!! ぼ、僕が覗いたのがわ、悪いんです…し…」

なんだか気まずい雰囲気になって、お互い黙り込んじゃった。
っていうか、何を言えばいいんだろう…あんまり踏み込んだことは聞けない…し。

「最近…沖田と一緒にいないな。」

「へっ?」

僕のことを気遣ってくれたのか、この雰囲気に耐えられなくなったのか…先輩は、全然関係ない話題を振ってくれた。

「あの女の子がいるから…か?」

そう。 一颯君と話そうとすると、高羽さんにきつく睨まれる。
「私のものに近づかないで。」と言いたげな目付きで。

「………あの…先輩…」

「ん?」

だから、一颯君と話せる朝練と部活の時間は貴重なものだし、一日で一番楽しみ。
一颯君に褒められると嬉しいから、部活も頑張れる。
一颯君に頭を撫でられると、胸がぎゅーって苦しくなって、泣きそうになる。
一颯君が高羽さんと楽しそうに話してると、胸が痛くなる。

――なんで?――

ストーリーメニュー

TOPTOPへ