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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

「うん…持ってきたはずの譜面がなくて…」

「譜面?」

鞄に入れたはずなんだけどなぁ…
今朝、一颯君と朝練した時にはあったし…

「ぁ…」

「ん? 思い出したか?」

そういえば…ピアノの上に置きっぱなしにしたかも。
今朝もギリギリまで朝練してたから、慌てて出てきたせいで忘れてきたのかもしれない。

「音楽室に置いてきたのかも。」

「取りに行ってくれば? 次自習だし。」

自習の時間に譜面さらいたいし、取りに行って来ようかな…
まだ時間あるし、音楽室そんなに遠くないし。

「うん。 ちょっと行ってくる。」

「行ってらっしゃい。」

教室を出て、急ぎ足で音楽室に向かう。
オーディションに使う譜面だから、なるべくさらっておきたいんだ。
先輩は、オーディション受けなくても選抜に入れてくれるって言ってくれたけど、やっぱり、正々堂々と胸を張って選抜に入りたいからさ。

「失礼しまーす…」

音楽室に入ると、誰もいなくて…
ピアノの上に、忘れて行った譜面がぽつんと置いてあった。

「よかった…」

で、譜面を持って教室に帰ろうとしたんだけど…

「……っ…か…」

「…………ろ…?」

「?」

微かに話し声が聞こえたんだ。
廊下からってわけでもないし…もしかして、お化けとか…?

怖くなって、早く教室に戻ろうと思ったんだけど…
準備室のドアがわずかに開いているのに気がついた。

誰かいるのかな…?

不思議に思って、こっそり覗いてみたんだ。 そしたら…

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