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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

「い、一颯君!!」

「寒いのか? これ、羽織ってろ。」

「で、でもっ…」

慌てて返そうとすると、一颯君はそれを止めるように頭を撫でてくれた。

「いいから、大人しくそれ羽織ってろ。 風邪引かれたら困るし。 俺は暑がりだから平気だよ。」

「ッ…」

なんだろ…なんか、胸がぎゅーって苦しくなる。 嬉しいのに、泣きたくなる。

━━なんで?━━

「…あ…りがと…」

「ん。」

今まで…こんな風になる人、いなかった。
どうして…病気ってわけでもないのに、こんな…

「あー…そういや、竹内先輩来れないってさ。」

「マジかよ。 ピアノなしで、どうやって演奏すんだよ。」

うーん…今日は演奏聴けないかな?
ジャズではね、ピアノはリズム隊に入るから、ピアノがいないとわりとキツいんだ。
ピアノがいない曲なんてほぼないし、結構大事なパートなの。
だから、今日ピアノ弾く人いないなら、演奏聴けないかな~…とか、思ってたんだけど…

「え?」

その話を聞いた神崎先輩が、音楽室の後ろに立っていた僕の腕をガシッと掴んで…

「お前…沖田の話では、ピアノ弾けたよな?」

「へっ?」

一瞬、何を聞かれているのかわからず、僕ポカーンってなっちゃった。
それで、僕まだ何も答えてないのに、神崎先輩は僕の腕を引いて、演奏準備している先輩達の中に連行。

え!? え!? 何事!!!?

僕、完全にパニック。
助けを求めようと一颯君を見たけど、何故か面白そうに笑っていて…

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