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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

「??」

なんでだろ? うーん…一颯君と一緒にいる時だけなんだよなぁ…こんな風に、胸が痛くなるの。

「!!」

あ、わかった!! たぶん、嫉妬だ!!
一颯君を高羽さんに盗られて、嫉妬してるんだ!!

「…………?」

でも、なんで? 一颯君は、僕に優しくしてくれる数少ない友達だから…かな…?

「入らないのか?」

「のわっ!!?」

ぐるぐると一人で考え込んでいたら、先程のように…ではないけど、急に目の前に神崎先輩の整った顔が現れて、思わず変な声を上げちゃった。

「大丈夫か?」

口元に手を当てて、面白そうに笑う神崎先輩。
今度は軽くどころか、完全にパニックになっちゃって、口をパクパクさせていると、神崎先輩はまた僕の頭を軽く撫でながら、もう一度同じことを質問してきた。

「大丈夫か?」

「ぅえっ!? あ、は、はい!! だ、だだだ大丈夫です!!」

「中入るか?」

「は、はははいっ!!!!」

緊張MAX、ついでにパニックもMAXな僕がツボなのか、先輩はずっと笑っていて…
音楽室に入っても、何故か僕の隣にいてくれた。

「………あ、あの…先輩?」

「ん?」

前で原本先輩が部活のことについて説明しだしても、僕の隣にいる先輩。
副部長なのに、部長の隣に行かなくても大丈夫なのだろうか。

っていうか、先輩が隣にいると、緊張して説明がまっっっったく頭に入ってこない!!

「は、原本先輩のお隣に行かなくても、だ、大丈夫なんですか?」

「あぁ…いいのいいの。 面倒なことはあいつにやらせておけば。」

「は、はぁ…」

いい…の…かな? 原本先輩一人で、この量の女子を相手するのは、すごく大変だと思うんだけど…

隣に立っている神崎先輩は、まだ不安そうな顔をする僕の頭をポンポンと撫でると、優しく微笑んだ。
まるで、「お前が心配しなくても大丈夫。」と言われている気がして…
少し安心している自分がいた。

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