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BL~中編・長編集2~

第1章 ~天使がくれた奇跡~

感情のこもっていない声で、男の子はそう言った。

「自分を犠牲にして、他人の幸せを願う・・・・どうしてそんなことができるの?」

「・・・・どうして・・か。」

どうしてだろう。

僕は、なによりも椿が大事だ。

自分自身なんかよりもね。

「それが人間だよ。 自分の利益よりも、他人を思って優先する・・・・そんなバカなことをするのは、人間だからだよ。」

「・・・・・」

そんな愚かな存在だからこそ、人間を愛せる。

「ところで、なにもしなくていいの? 彼が死ぬまで、あと一週間くらいしかないよ?」

「なにもって・・・なにもできないよ。 僕がなにをしても、駿が死ぬことには変わりないんでしょ?」

今更駿に告白するとか・・・そんなこと、できるわけないし。

第一・・・

『駿と付き合うことになったの!!』

椿の笑顔を奪いたくない。

「そうとは限らないんじゃない?」

「え?」

それって・・・どういうこと・・・・・?

「まだ、彼を助ける術はあるってこと。」

「どうやって!!?」

授業中だったけど、思わず大きな声を上げてしまった。

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