
好きで、好きで、好きで。
第1章 想い人
「もうっ!」
ブツブツ言う母を無視して部屋に行く。
扉をあけると、すでに優斗がいた。
勝手に漫画を読み漁る彼を確認して鍵を閉めると、操は自分でも顔が緩むのがわかった。
開け放した窓の下でさわさわと髪を揺らす彼は、やっぱり格好いい。
細い首筋に、捲り上げたカッターシャツから少し筋肉質な腕が覗く。
扉を背にじっとその姿を見つめていると、優斗が顔をあげた。
「何突っ立ってんの?」
「ん~?優くん格好いいなぁ~って。」
恥ずかしげもなく、いつもの様に言う操から目を逸らし、また漫画に目を戻す。
