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「再会」と呼べる「出会い」

第20章 見送る人

お昼、いつもの空き教室に行くと
次朗君がいた。

次朗君は窓際にもたれながら
外を眺めていた。
いつもならすぐ気付いてくれるのに
今日は少し様子が違う。

「次朗
ミカ先輩来たぜ」

側でスミレちゃんと
お昼を食べていたショウヤ君が、
次朗君に声をかけてくれた。

次朗君が振り向く。

少し沈んだ表情。
かんちゃんと付き合っていることが
カモフラージュだったってことを
みんなに知られたからかな…。

「…ごめんね」

いつもの席に座りながら
私から声をかけた。

「何かした?」

「かんちゃんとのこと」

次朗君は少し考える表情をしながら
私の正面に座った。
そして思い出したように

「…あぁ
 なんか嘘がみんなにバレバレだったって
 ことだよね
 かんちゃんも話してくれたよ」

苦笑した。

「いいよ
 なんか心配なさそう
 かんちゃんとの恋人ごっこは
 もうおしまい
 ま ごっこでもなかったけど」

「ってことは次朗
 ミカ先輩とのことを認めるんだな」

ショウヤ君がニヤリと笑った。

「うん」

次朗君が私を見て微笑む。
胸の奥にずっとあった苦いものが
今ポロリと取れた気がした。

「次朗君からそれが聞けて
 私もやっとスッキリした
 良かったね ミカ」

スミレちゃんが安心した、
という表情で私に微笑んだ。

「ところで
 なんでそんな嘘を
 つかなきゃいけなかったんだ?」

「そうよね
 ミカまで一緒になって」

「え えっと」

私は答えに困った。
勿論、隠土先生とかんちゃんの事を
二人に話すわけにはいかない。

私は次朗君を見た。

「ほら俺ってモテるじゃない?
 かんちゃんが彼女って言っておけば
 みんな諦めてくれるかなぁ〜って
 ちょーっとミカ先輩では
 色気部門で平均より劣るからね〜」

「な 」
 
…こ このやろっ 
何が色気部門だ?!

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