無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「佐伯　…がどうとかって
　何？」

「え 」
「いや　ちがくて」
「何でもねーよ
　人違いだよ」

「二度と近づくなって約束
　破ったらハリセンボン…」

次朗が木瀬に近づく。

「尻から突っ込むよ」


…


という風に聞こえた気がした。

「うぁあああ」
「ひぇええええっ」
「やべーよコイツ！！」

3人は各々の悲鳴を上げ、
走り去っていった。

次朗とあの三人の間に
ミカを絡んだ何かがあったに違いない。

俺が殴るまでもなく
あいつらがミカに何かをすることはない。
確信が持てた。

「次朗　お前あいつらシメた？」

「一度ね
　やりすぎ程度には」

「ミカ何かされたのか？」

「…
　思い出したくないかも」

次朗の目が
紫色にチラリと光った。
やはりコイツ、ただものじゃないのかも。

「お母さんにお土産
　こんなのでどう？」

次朗はその手に、小さめの
可愛いアレンジメントをのせた。

「あぁ　喜ぶよ」

行く方向で決定…か。

つーか母さんに会ってどうすんだよ。
今までの事、チクるつもりか？

「次朗 やっぱりやめねぇ？」

これ以上、母さんに心配かけたくない。
俺の悪行を聞いて、
ますます具合が悪くなるかもしれない。
父さんが死んでから、
心身両方でずっと辛そうだったから。

「ゆーちゃんが元気になるには
お母さんに元気になってもらわないと
ね」

「？」

お前と会えば元気になれるって？

「俺たちは力になれるよ」

「たち？」

意味が分からない。
次朗の表情は確信に満ちていて、
もしかしたら、
本当に母さんを治せるんじゃないか、
そんな錯覚を覚えた。