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「再会」と呼べる「出会い」

第19章 廃墟と花嫁

「本人に教えて貰うといいよ
 今ならきっと
 話してくれるから」

「え 記憶を消したら
 全部
 忘れちゃうんじゃないの?」

「これは忘れないよ
 ハクアは関係ないもん
 …ほんと
 上手くなんていかないよね」

何かを思い出すような表情。
次朗君は
小さく溜息をつくと
再び手を動かした。

「意味深ねー
 気になるじゃない」

神鳥さんが次朗君を睨む。

…気になるよ


「起きたとき
 ここじゃマズいっすよね
 運びますか?
 学校にでも」

「いや ここでいいよ
 大丈夫」

リョウ君の問いに
手を動かしながら次朗君が答えた。

「話したいだろうから
 そうじゃないと
 この子達の
 本当の解決にはならない」

「なるほど
 …けどあまり大勢いても
 話しづらいッスよね
 そんな親しいわけでもないし

 神鳥
 お前は俺と先に
 学校に戻るか」

リョウ君が神鳥さんに
提案した。

「んー… 
 気にはなるけど
 その方がいいかもね
 先生 先に行くね」

「あ …あぁ」

出口の方へ
身体を向けた神鳥さんに
隠土先生が返事をする。

なんだか
ちょっぴり寂しそう…。


リョウ君と神鳥さんは
部屋を出て行った。

数分後

「… よし」

次朗君がエミの中から
手を引き抜いた。
記憶を消し終わったようだ。

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