テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第19章 廃墟と花嫁

私と香田先輩が
井崎先輩と百瀬先輩を
運んだのは学校、ではなく
その近くの喫茶店『濁天』だった。

学校は今、丁度放課後。
誰かに見つかって、
大騒ぎになってしまう
可能性が高いもんね。

マスターには
事前に校長先生が
連絡してくれていた。


「大変だったね
 こっちに運んで」

マスターは店内の奥にある
畳の部屋を案内し、
二組の布団を敷いてくれた。
その上に二人を寝かせる。

香田先輩は直ぐに、
隠土先生に
ここに来てくれるよう連絡した。


「取り憑いていた物が
 抜けたとしても
 後遺症は残るからね
 清一君に綺麗にして貰えば
 安心だ」

「後遺症 って?」


私は悪魔や天使のことは
本で見た知識しかない。

「一度取り憑かれた人間は
 他の悪魔にも
 取り憑かれ易いんだ
 身体のどこかに
 跡が残ってしまうからね
 それが他の悪魔を
 呼び寄せてしまうんだよ
 
 それが心が弱い人間である
 証明にもなるからね」

「そうなんですか
 じゃこの二人も
 このままだとまた…」

「そうだね
 繰り返して
 しまうかもしれない」


この二人の心が弱い…か。
私が知る井崎先輩と百瀬先輩は
自信の塊みたいな人達だったのに。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ