テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第19章 廃墟と花嫁

エレベーターが開くと
そこは

濁天二階にある、
次朗君の部屋だった。

次朗君は
私の肩を抱いた手を離すと
ベッドにゴロリと横になった。

そして

「着替えどうぞ
 目閉じてるから」

そう言って
腕を曲げて顔を覆った。

「入って来たドアを出れば
 濁天の二階の
 廊下になってる
 階段降りて外に出れば
 学校にはすぐ戻れるよ」


「え」



あれ …
思っていたのと違う。
精気を補給するんじゃないの?

「あの…次朗君」


「…」


え なんか なんだか



この態度、何?



「早く着替えたら?」

そう言うと
次朗君は起き上がり、
ベッドから立った。

こちらを振り向くことなく、
奥の本棚の隣にある
ドアを開け、
入っていく。

この間来たときは
あんなドア無かったよね?

っていうことは

ここはやっぱり
梅子さんのホテル…。


え え

私の事、
置いていっちゃうの?


私は後を追った。


次朗君
なんか変だよ。


ドアを開けると

湯気と共にシャワーの音。

湯気の向こうには
裸の…

「次朗君!!」




  ザーーーーーー


俯き、
打ちつける水滴を
ただ受け入れる。


一体どうしたの?

触って
くれないの?




「…井崎優司は学校にいる
 気になるだろ?
 行ってやれば?」











この人 拗ねてる…?



「隠土先生がいるもん
 神鳥さんだっているし
 大丈夫だよ」


 …キュ


シャワーが止まる。



「…んとに
 ダッサイよね 俺

 いちいち…ぁーーーー」



ゴツ


壁に額を打つ。




…どうしよ
たまらないよ…




「…」




私は濡れる次朗君の
背後から抱き付いた。

お湯を浴びていたはずなのに
やっぱり体は冷たかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ