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「再会」と呼べる「出会い」

第19章 廃墟と花嫁

「私を攻撃すれば
 この人間も死ぬことに
 ナルノダ!!」

「人質がいなければ
 お前自身は
 何も出来ないんだな」


次朗君は腕を下ろさなかった。
寧ろ



「次朗君!」


冷気はどんどん
増して行く。


「待って次朗君!!」

「…」

次朗君の瞳の色は
紫色から赤に
変わろうとしていた。

…危険だ


次朗君の中の悪魔の血が
次朗君を
支配しようとしているのだ。

そうなれば、
抑えが効かなく
なってしまう。




「次朗君お願い!!」

私は次朗君に抱きついた。


悪魔になんか
なっちゃだめ…!!


「止める…ってことは
 ミカは井崎優司の事」



「かばうの?

 …だよね
 付き合ってたんだものね」


次朗君はゆっくりと
瞼を閉じた。


「私が好きなのは
 次朗君だよ…!!!」

「…でも ほら
 君は今人間で
 俺は… 違って」

「次朗君!!!」


開いた瞼の向こうは
血のような 赤。



いやだ 
次朗君が次朗君じゃ
なくなるよ…!!



「人間とか悪魔とか
 今も昔も関係ないよ!!
 次朗君お願い!!
 こっち見て!!」


私は次朗君の顔を
両手で包んだ。
視線が、合わない。


「…やだよ」



「グヒャーッヒャヒャヒャ!!
 滑稽千万!!

 嫉妬の念に捕らわれたな!
 思い通りだ!!
 グヒャヒャヒャヒャ!!
 …!!」


騒音を
突然の地鳴りが
掻き消した。








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